体臭と洗濯の関係

事故は起こるべくして起こる。プリントTシャツヤケドで思う事。

2018年2月1日

プリントTシャツで火傷

界面活性剤残留の事故

少し前の読売新聞の記事で気になる話題がありましたので、それについて。ニュースリリースは2017年10月12日。そして、その“事件”があったのは、更にさかのぼること1年ほどの2016年9月。

神奈川県茅ケ崎市で行われたスポーツ大会での事。何の競技かよく分からない「スタンドアップパドルボード」というモノの大会なんですが、どうやら国際大会でのこと。
参加者その他に配布されたプリントTシャツを着た人々にかぶれなどの症状が現れたとの事。その原因がプリントの前処理剤が原因ではないか、という記事。

“かぶれ”と言うにはひどすぎるケロイド状のヤケドを胸から脇腹から背中から、上半身の至るところに負ってしまった筋骨たくましい男性の写真が添えられています。多分、一生もののヤケドだと思いますが、お気の毒です。どうやら100人以上の人が被害にあわれたらしい。

その前処理剤に含まれていた「塩化ジデシルジメチルアンモニウム」が本当の原因である可能性が高いと考えられ、捜査に当たった県警では、人体に有害な恐れのある薬品と知りながらTシャツのプリント用に販売したとして、京都のインク販売会社の役員と開発担当者を業務上過失致傷容疑で10月12日にも書類送検する、という顛末。今頃は執行されているでしょうね。

 

どうして事故は起こった?

さて、塩化ジデシルジメチルアンモニウムは、殺菌剤などに含まれる陽イオン系界面活性剤。つまりは逆性石鹸ですね。「オスバン」って知ってます? ドラッグストアで簡単に手に入りますし、入院病棟の入り口に置いてある、押すとピュッと出るあの殺菌剤です。あれも同じ4級アンモニウム塩。あれの仲間ですね。

オスバンは同じ4級アンモニウム塩の「塩化ベンザルコニウム」が主原料で、売っている段階で既に0.1%水溶液です。通常はそれを100倍から200倍に薄めて使います。もうホントに薄っすいー水溶液。けれどそれが、殺菌効果抜群! 殺菌を謳う消臭剤や洗剤にも配合されています。そうそう、今朝、洗面台に置いてあった「薬用デンタルGUM」の裏書を見たら、そこにもベンザルコニウム配合と書かれていました。

売っているオスバン、つまり0.1%水溶液を直接触っても、肌などに全く影響はありません。もちろん、ずっと暴露されていて、強い日差しに晒され、更に運動で体温が上がり…そんな最悪な状態での結果は分かりませんし、今回の事件の顛末が答えなのかも知れませんが…それに、塩化ジデシルジメチルアンモニウムと塩化ベンザルコニウムの毒性差の多寡もよく分かりませんし、プリント前処理剤中の塩化ジデシルジメチルアンモニウムの濃度も分かりませんが… それでも、4級アンモニウム塩は陽イオン界面活性剤であり、溶液も水のはず。濃度0.001%で通常使用すれば病人でさえ危険はない。

 

どんな使い方をしたか?

考えられるのは、高濃度で使用して、更にもっとも簡単な除去方法の「水で濯ぐ」と言うことを行わなかったということだと思います。

昔は、よくドライクリーニング溶剤が衣類に残ったまま、お客さんに返してしまい、知らずに着用したお客さんが溶剤ヤケドをする、という事故がありました。それこそバブルの頃なんかは、男も女も分厚い肩パットのジャケットを着ていました。ほら「平野ノラ」のジャケットですよ。ああいう生地が厚いところに、溶剤が残る。普通の、例えばウールのコートだって、60度で20分タンブラー乾燥すれば、溶剤はすっかり飛んでいきます。ところがあの厚い肩パットだったり、タンブラーにたくさん詰め込みすぎで乾燥が不足すると、溶剤が残る。まあ当たり前なのですが、そんなクリーニング屋さんがよくありました。直接触ってそのままにしておけば、普通は誰でも肌荒れ、軽度のヤケドくらいは起こってしまいます。それは長時間肌に触れ続ければ…ケロイドヤケドになる可能性がある。

話を戻して、4級アンモニウムの件。0.001%程度では、ドライクリーニング溶剤(こっちは100%濃度ですが)のようなヤケドは起こりえない、と思いますが、更にシッカリ濯げば、絶対にヤケドするようなことは起こらない。けれど高濃度で生地に残留していて、そこに長時間触れていれば、こういう結果も考えられる。
これは普通の洗剤でも同様に考えておくべきです。

 

今どきのコンパクト洗剤は高濃度

コンパクト型の液体洗剤は60%もの界面活性剤が含有されているものがあります。これを洗濯機に直接投入。一旦は被洗物のどれかに直接付着します。それも非常に高濃度。

基本的にすべての事象はエントロピーに支配されていて、固まる(整頓されている)状態よりも煩雑(広がる)方向に進むのが、物理のあたりまえ。かと言って、冷たい水の中では、十分に洗剤が拡散するとは限らない。高濃度コンパクト洗剤を使う場合は如何に薄めるか、拡散させるか、を考えましょう。それでも濯ぎ一回では、洗剤はもとより、汚れや臭いの元が溶液中に高濃度に残ります。それは脱水時に洗濯機中から追い出されるモノもありますが、大半は衣類などに再汚染します。そういう不完全な洗濯方法では衣類の蓄積臭が溜まるばかり。

まあ、私の作るカスタムメイド洗剤も、高濃度なまま、臭いのある所に直接噴霧するわけで、同じと言えば同じです。濃いことがすなわち悪いことではない。目的があれば、必要性が生じるわけですからね。けれど、カスタム洗剤にはカスタム洗剤の使い方があり、それは、コンパクト洗剤の真逆になります。私は口を酸っぱくして、冷水での洗浄は禁止で、せめて30℃以上のお湯で洗う事、2度濯ぎ、2回目は流水濯ぎ等を指導しています。少し水道代はかさむし、手間もかかるけど、体臭改善の一つのツールと思えば、決して高いものではありません。

衣類の消臭ケアは、最も簡単で最も即効性のある体臭改善策です。但し、私の処方した洗剤であっても、使い方が間違っていれば、大きな効果は見込めないし、事故につながる可能性が無いとも限らない。皆さん、私の指示に従ってくださいね。そして分からない事や疑問に思うことがあったら、迷わず相談! いつでもメール待ってます。

 

-体臭と洗濯の関係

Copyright© ニオイ博士の体臭に負けるな!ブログ , 2020 All Rights Reserved.